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November 26, 2024

従業員ジャーニー:そのメリットとジャーニーマップの作り方

Milton Herman
読む時間の目安 14分

従業員ジャーニーとは?

従業員ジャーニーとは、入社から退社まで、従業員が経験する出来事や活動、中間目標地点のすべてを指します。

雇用者と従業員の関係において、重要となる瞬間の連続だとも言えます。

なぜ従業員ジャーニーが重要なの?

人事のプロが従業員の経験に焦点を当てるのはなぜなのでしょうか?

それは、 企業が従業員エクスペリエンスの移り変わりを理解することで、従業員がやる気を持って仕事に没頭するために何が必要なのかがわかるからです。

従業員ジャーニーは、人が採用され、ほかの従業員と関わり始めることから始まります。そして、その人が自発的に退職するか、会社都合で退職するまで続きます。

従業員ジャーニーマップとは?

従業員ジャーニーマップは、従業員が経験する重要ポイントを特定するために用いられる手法です。

そしてそれを時系列順にリスト化することで、従業員にとって大切な瞬間が明らかになります。

従業員ジャーニーのステージの例

今回の例では、採用プロセスを通じて優秀な人材を引きつけることにすでに成功している企業を想定しています。

1. 公平な採用プロセスを実施する

人材を評価し、業務遂行能力を予測するための客観的な採用プロセスを実施し、募集中の職務に最も適した求職者を見つけ出します。

2. 新しく入った従業員が新人教育ですぐに馴染めるようにする

理想的な新人教育プロセスは、「仕事ぶり」を教えるだけにとどまりません。

彼らがほかの従業員と打ち解け、自社の行動指針や価値観に共感できるようにする必要もあります。

つまり新人教育プロセスというのは、彼らが自分の才能をいかにして企業の成長に役立てられるのかを理解する出発点となるべきなのです。

3. 従業員のスキル開発を支援する

従業員エンゲージメントは、単に快適な作業環境を作るだけでは向上しません。

今の社会人たちは、自分に個人的な関心を持ってくれ、仕事上の責任感を促し、キャリアアップの機会を提供してくれる管理職を求めているからです。

4. 定期的にフィードバックを行う

従業員は、自分の業務遂行能力がどの程度なのか、改善が必要な分野があるかどうかを知りたがっています。

彼らに必要なのは、公平でインクルーシブな業績評価に基づいたフィードバックを受けることです。

5. 専門的スキルの開発機会を提供する

キャリアパスがないまま働き始めることを、やりがいのある仕事だと感じる人はほとんどいません。

従業員は、経験を積むにつれて新しいスキルを身につけたり、新しい人と仕事をしたり、裁量権をより多く持てるようになったりするための機会があることを望んでいます。

6. 退職もポジティブな経験にする

退職は、従業員の従業員ジャーニーにおいて感情的になる部分です。

退職面接は、その人が仕事をどう感じていたのか、エンゲージメントが低下し始めた具体的な出来事があったのかどうか把握するための優れた戦略です。
 

従業員ジャーニーをサポートする重要性

なぜ企業は従業員ジャーニーをサポートするのでしょうか?答えは簡単です。従業員ジャーニーは従業員だけでなく、次のように雇用者にもメリットをもたらすからです。

従業員ジャーニーマップで、従業員の経験をより深く理解できるようになる

経営者は、従業員のキャリアにおけるさまざまな段階の経験を、すぐには理解できないかもしれません。

しかし、従業員ジャーニーマップを導入すれば、すべての従業員に共通する具体的な関連イベントに焦点を当てることで、状況を把握しやすくなります。

言い換えると、従業員ジャーニーマップは、従業員の採用から退職までの経験を測定するものなのです。

学習や開発活動の計画が立てられる

従業員ジャーニーマップを使えば、企業の人事部や管理職が、新人教育、学習開発、従業員のパフォーマンス、従業員調査、指導などに関する活動計画をうまく立てられます。

従業員満足度の向上

従業員ジャーニーマップを作成すると、従業員エクスペリエンスを向上させるための計画を立てられます。そうすれば、従業員は自分が企業のコミュニティの中で大切にされているメンバーだと感じられるようになるでしょう。従業員は、自分たちの貢献が評価されていると感じられるように行動してくれる雇用者に対しては、誠実に振る舞う可能性が高くなるのです。

従業員離職率が低下する

仕事に満足している従業員は、退職して別の企業に転職する可能性が低くなります

LinkedInによると、今の仕事で自分のスキルが十分に活かされていないと感じている従業員は、ほかの職を探す可能性が10倍高くなります。

ここで前向きな話をすると、従業員ジャーニーマップは、従業員研修をいつ行うかべきか、どの研修が従業員にとって利益になるか、そして彼らのキャリア開発計画を立てるかの判断を下す手助けになります。 

そうなると従業員離職率は下がり、この戦略のおかげで企業は成長するのです。

従業員エンゲージメントが高まる

Gallupは、従業員エンゲージメントにおいて世界を牽引していますが、87%の従業員が仕事に熱心ではないと述べています。

従業員エンゲージメントの数値を長期的に改善する方法について、企業は知っていなければなりません。経営者や管理職が従業員のエンゲージメントジャーニーを理解すると、その欠点を見つける機会が何度も生まれます。

これらの欠点を特定できたら修正もできます。

企業は従業員ジャーニーのさまざまな段階で、エンゲージメント活動の計画を立て、その結果を追跡できるのです。

よりポジティブな企業文化を醸成する

従業員が企業でキャリアプランを持ち、自分が日々何を求められているのか理解していると、企業文化がよりポジティブになり、従業員同士の関係も良くなります。

明確な職場文化を持つことが、ビジネスの成功にどれほど重要なのでしょうか? 

デロイト社の「価値観と企業文化に関する最高責任者への調査」によると、経営者の94%、従業員の88%が、明確な職場文化を持つことが「職場の成功に重要である」と回答しています。

従業員ジャーニーマップを作成する方法

新規採用者があなたの会社で働くことを正式に承諾したら、従業員ジャーニーマップの作成を開始しましょう。この時点で、彼らは企業との関係を築き始めています。

事前研修

企業が新入社員の初出勤前にどのような情報を提供すれば、彼らがより居心地良く過ごせるようになるでしょうか? 

最低限、企業からの雇用申し出確認書、始業日と始業時間、彼らが最初に報告すべき人とその人の名前などが必要です。

近くの駐車場や公共交通機関のルートに関する情報も伝えると、感謝されるでしょう。

また、初出勤日には誰が案内してくれるのか、社内にカフェテリアやランチルームがあるかどうかを知りたいとも思っているはずです。

新人研修

初出勤日にオフィスに誰もいないなんてことがあってはいけません。

初出勤日にはワークスペースが準備され、コンピュータが設定されている必要があります。

新入社員がオフィスに到着したら、誰かが出迎え、その人の席に案内し、コートをかけるや給湯室、トイレの場所などを教えてあげなければなりません。

彼らの「仕事仲間」も紹介し、その後数日間わからないことがあったら答えてもらえるよう、その人の連絡先も教えてあげましょう。

LumAppsの従業員イントラネットには、彼らが初日に記入しなければならない電子文書が含まれています。

そしてこのプラットフォームには、人事部や企業ニュース、コミュニティや従業員が作成したコンテンツへのリンクも含まれています。

これらは彼らが会社に慣れるための優れたリソースだと言えます。

従業員の報酬と福利厚生

報酬と福利厚生は、従業員ジャーニーの重要な要素です。

新規採用者が入社したら、給与やその支払日、昇給と査定の時期を必ず伝えましょう。

福利厚生プランに慣れるため、彼らは福利厚生ガイドを受け取る必要があります。

また、福利厚生プランに参加するのに、一定の勤務時間数または勤務週数が必要な場合は、そのポリシーを明確にしておきます。

継続的な従業員の学習と開発

従業員を引きつけるためには、継続的な学習と開発プログラムが必要です。

ここで一定期間停滞してしまうと、従業員はキャリア開発が遅れていると感じます。

そして、専門的スキルを開発する機会がないと不満に思い始めると、転職を検討し始めてしまうのです。

業績評価とフィードバック

業績評価を待つことなく、全従業員が自分の職務遂行に関するフィードバックを、定期的に受ける必要があります。

従業員が何か良いことをしている場合は、肯定的なフィードバックをすることによってその行動を続けさせることができます。

定期的にフィードバックを行えば、特定の分野で改善が必要な従業員が正式な業績評価を待たなくても、自分の行動を変え始められます。

雇用主と従業員の関係の終了

雇用主と従業員の関係はいつか終わります。

従業員は退職を決意するかもしれませんし、転職を決意するかもしれません。

また、企業が一部のスタッフを解雇する必要があるかもしれません(正当な理由があってもなくても)。

従業員が企業を離れても、従業員ジャーニーはまだ続いています。将来、状況が変わるかもしれません。

  • 退職した従業員でも、今度はパートタイマーとしてその企業に戻ってきたいと思っているかもしれません。
  • 転職のために退職した従業員でも、転職先でうまくいかず、元の企業に戻りたいと考えているかもしれません。
  • 解雇された従業員でも、企業の財政状況が改善すれば、再びそこで働きたいと思うかもしれません。
     

こうした従業員は、新規採用者にはない、自社の業務運営に関する具体的な知識と経験を持っています。 

そんな彼らを以前とは異なる職種で再び迎え入れることは、理にかなっているのではないでしょうか?

 

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強い従業員ジャーニーを作る方法

従業員ジャーニーマップを作成する際には、どのようなガイドラインを念頭に置けばいいのでしょうか? 従業員に合ったものにする必要があります。

従業員を異なるグループとして考える

従業員を部署や年齢、性別やそのほかの従業員ペルソナに基づいて分類し、記述します。また、従業員ジャーニーの段階(ジュニア、ミドル、シニア、退職間近の従業員など)によっても分類できます。

複数の従業員ジャーニーマップを作成する

最初のステップで作成した各グループに対して、個別の従業員ジャーニーマップを作成する必要はありません。

ここで重要なのは、インクルージョンを確保し、グループ内(およびマップ間)の差異を考慮することです。

従業員調査を実施する

従業員に、会社での経験についてどう思っているか聞いてみましょう。彼らが好きなことは何でしょうか? 改善できる点はどこでしょうか?

具体的なフィードバックを求める

新人教育プロセスを新規採用者はどのように感じたのでしょうか?

入社後の数日間、数週間に、彼らは必要なサポートをすべて受けられたのでしょうか? 

もし受けられてなければ、どのような変更が必要なのでしょうか?

データを測定して成功したかどうか確認する

新人教育や従業員の認識、継続的な研修と開発など、取り組みの成功を測定するためのパラメータを設定します。
 

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