フロントラインワーカーの能力を高める優れた10の方法
しかし、果たしてフロントラインワーカーの仕事に対する満足度やエンゲージメントは高いのでしょうか?残念ながらそう感じているフロントワーカーはほとんどいません。
フロントラインワーカーは、現代企業が取り入れているコミュニケーション手段(メール、電子報告書、ソーシャルイントラネット、そのほかのデジタルコミュニケーションなど)から取り残されているため、組織へのエンゲージメントが低下しがちです。
実際、フロントラインワーカーを擁する多くの業界では、こうしたエンゲージメントの低下が原因で離職率が高くなっています。
従業員を一人雇い直すのに、年間給与の33%ものコストがかかることを考えると、率先して彼らにエンゲージメントを与え、能力を高めることが重要なのは明らかです。
フロントラインワーカーの能力を高める方法
経営学誌、ハーバードビジネスレビューの調査によると、回答者の87%が「フロントラインワーカーにその場で判断を下す権限を与えれば、企業はより成功を収められる」と感じています。
しかし、離職率の高い雇用の型にはまりきってしまっている場合、どうすればそこにたどり着けるのでしょうか?
そうした組織の変革をサポートする10の方法を、以下で解説していきます。
1. 明確なビジョンを提示する
フロントラインワーカーは、経営陣から疎外されていると感じることが少なくありません。
だからこそすべてのフロントラインワーカーに、企業の理念や行動指針を浸透させることが非常に重要になってきます。
それらは単なる文字の羅列などではなく、その企業が存在する目的なのです。そして、そこから生み出される企業文化が、組織の階層全体に浸透していく必要があります。
組織の目標と目的を理解すると、従業員はそれらを自分の仕事の目標や目的と結びつけるようになります。
本来、こうした目標は従業員により大きなビジョンを抱かせ、彼らは仕事に充実感を覚えるようになります。
2. より強固なテクノロジーソリューションを提供する
前述したハーバードビジネスレビューの調査からもう一つわかるのは、回答者の86%が「フロントラインワーカーはより優れたテクノロジーツールを必要としている」と回答していることです。
これを念頭に置き、デジタル変革がデスクワーカーだけのためのものではないということを強調することが重要です。
マッキンゼーアンドカンパニーの調査によると、フロントラインワーカーの能力をデジタルを使って強化した組織の43%が、デジタル変革の取り組みにおいて著しい進歩を遂げていることがわかっています。
一方、フロントラインワーカーが使うテクノロジーをアップグレードしていない組織は、その割合がわずか21%にとどまっています。
このことから、使用するテクノロジーをアップグレードする利点は明らかです。
モバイルアプリを含むソーシャルイントラネットのような洗練されたソリューションは、オンラインに必要なツールと情報をフロントラインワーカーに提供するための効果的な方法です。
ソーシャルイントラネットは、オフィスでデスクトップパソコンを使っている従業員であろうと、現場でモバイルデバイスを使っている従業員であろうと、対象とする従業員に適切な企業情報を配信するための、統一された中央ハブとして機能します。
最も効果的なものは、スケジュール作成やコミュニケーション、フィードバックといった一般的なアプリケーションとシームレスに統合されており、フロントラインワーカーの能力を簡単かつ効率的に高められます。
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3. 決定権を持たせる
フロントラインワーカーの多くは毎日顧客と接しているため、ほかでは得られない洞察力を備えています。
だからこそ、ハーバードビジネスレビューの調査に回答した人の90%近くが「フロントラインワーカーの能力を高める重要性」に賛同しているのです。
組織のなかには、顧客サービスに関する意思決定の推進力として、主に顧客調査を利用している組織があります。
ただ、調査は優れたツールではありますが、質問によって参加者が特定の回答に誘導されしてしまうことがよくあるため、正確なサンプルを抽出できない可能性もあるのです。
エンゲージメントの高いフロントラインワーカーを活用すると、顧客がとる行動をより効率的に予測できるようになります。
そして彼らは顧客に対して、飾らず親しみを持って接するため、顧客調査をした際に、義務感から親切にされたり勧誘されたりしたという回答が少なくなります。
その結果、顧客がしてほしいことや経験してきたことに関して、フロントラインワーカーが独自の視点を持てるようになるのです。
これを念頭に置き、フロントラインワーカーに重要な顧客サービスとビジネスに関する意思決定権を与えるようにしましょう。
これは顧客にとって良いことですが、従業員にとっても、自分たちが単なる替えがきく存在ではなく、ビジネスを運営するうえでより重要な役割を担っているのだと感じられるようになるのです。
4. 定期的にフィードバックを求める
最近行われた調査によると、フロントラインワーカーの半数以上が、顧客満足度向上のための提案やフィードバックを四半期ごとに求められています。
あなたの企業で少なくとも四半期ごとにこうした提案を求めていないのであれば、それは素晴らしいアイデアをたくさん見逃していることになります。
従業員からシフトの前後でフィードバックをもらえるよう、オープンなオフィス時間を設けましょう。
顧客調査の結果を、モバイルからもアクセス可能なソーシャルイントラネットなどのテクノロジーベースのソリューションと組み合わせることで、従業員はいつでもフィードバックできます。
その後、都合の良いときに直接フォローアップし、さらに詳しく話し合うことも可能です。
5. より優れた研修プログラムに投資する
2019年の調査によると、フロントラインワーカーの38%が、正式な研修を受けていないことがわかりました。
そして27%の人が、受けた研修が不十分、つまらない、効果がない、と回答しています。
これでは新しく入ったフロントラインワーカーに、初日からストレスと不安をたくさん与えてしまうことになります。
彼らがエンゲージメントを感じられないのは当然です。
フロントラインワーカーが成功できるように、しっかりとした研修プログラムに投資するようにしましょう。
6. 進捗状況を伝える
明確なビジョンを示し、適切な研修を実施し、フロントラインワーカーに日常的な意思決定権を与えたら、仕事上の目標に対する進捗状況を把握することが重要です。
月々の販売ノルマを達成する必要があるときは、毎週その進捗状況を伝え、必要に応じて業績向上のためのアイデアを話し合いましょう。
7. 好成績を表彰し、報奨を与える
自分が認められていないと感じる従業員は、1年以内に退職する可能性が2倍になります。
たとえ頻繁に好成績者を表彰しているとあなたが思っていても、従業員の意見は恐らく違います。
およそ67%の管理職が、表彰の場を十分に設けていると考える一方で、そう思っている従業員はわずか23%しかいないのです。
表彰を積極的に行うようにするのは、決して悪いことではありません。これは企業全体の士気を高め、仕事に対する満足度を高めるのに役立ちます。
ソーシャルイントラネットなどのコラボレーションテクノロジーソリューションには、マネージャーと同僚が従業員を認識できるツールが組み込まれています。
これにより、従業員と経営層の両方が、一指触れるだけで優れたパフォーマンスを認識することができます。これは、従業員の士気に大きな影響を与えるでしょう。
8. 意見を尊重する
定期的にフィードバックを集めるだけで終わらせてはいけません。
フロントラインワーカーの多くは、エンドユーザーや仕事仲間にもっと良い体験をしてもらうために、素晴らしい提案ができます。
良いアイデアを思いついた人がいたら、それを実行しましょう。
経営陣がアイデアを実行できないと判断した場合でも、その理由をフロントラインワーカーに伝えることが重要です。
なぜなら、たとえ自分のアイデアが採用されなかったとしても、経営陣に少なくとも聞いてはもらえたということを伝えられるからです。
最悪なのは、フィードバックを求めたにもかかわらず、その内容に関する進捗状況を一切伝えないことです。
このようなことがあると、従業員は自分のアイデアがなかったことにされたと感じてしまいます。
9. チーム文化を育む
チームワークと協働の文化を築くことは、フロントラインワーカーのモチベーションを上げるのに素晴らしい方法です。
これだけでもチーム志向の文化を育むのに大いに役立ちますが、さらに一歩踏み出すことで驚くべき成果が得られます。
たとえば、勤務終了後に月例のチームビルディング活動を設けると、メンバー全員が仕事以外で互いについてよく知ることができ、仲間意識が芽生えます。
10. 成長のチャンスを与える
最近の調査によると、従業員の93%は、成長のチャンスが十分に与えられれば、今の企業にとどまりたいと考えていることがわかりました。
つまり離職率を下げたいのなら、フロントラインワーカーに投資することが重要になってきます。
管理職研修プログラムを実施し、ほかのポジションでスキルアップできるよう従業員をサポートすることで、組織内で成功するのにベストなチャンスを与えられます。
フロントラインワーカーにこのようにアプローチすれば、将来昇進できる可能性があるとわかってもらえるため、彼らはより誠意を持って一生懸命働いてくれるようになります。