企業文化とは?その重要性とベストプラクティス
企業文化とは?
企業のなかには、非常に伝統的で保守的な文化を持つ企業もあります。
銀行や法律事務所などは、厳格に守らなければならない決まりが数多くある業界のため、こうした文化になりがちです。
意思決定はトップダウン型で進められ、少数の経営陣によって企業の運営方法が決められます。この場合、情報の流れは上から下へと一方通行になり、基本的に従業員は、企業の運営に対して大きな影響力を持っていません。
一方、広告やデザインなどのクリエイティブな仕事に携わる企業は、それほど保守的ではないでしょう。
彼らはリラックスできる格好をして、日常業務においてもカジュアルなアプローチをとっているかもしれません。
これらのタイプの企業文化は、どちらも一長一短です。どちらの企業文化でも、効果的に機能して企業を成功に導くことができます。
ただし、求職者や現在働いている従業員にとっては、企業文化が仕事満足度に大きな影響を与えます。
自分が今の企業文化に合っていると感じると、従業員は快適に働いて最大限の能力を発揮できます。
しかし企業文化が自分に合っていないと感じると、彼らは居心地が悪くなり、より自分に合った企業を求めて転職してしまう可能性が高くなるのです。
企業文化のコアバリュー
組織文化は企業ごとに異なり、さまざまなタイプが存在します。
しかし、成功を収める企業には共通するコアバリュー(中心となる価値観)があります。
企業は事業のニーズを尊重しながら、従業員を第一に考えることが大切です。
企業文化の6つのコアバリューは次の通りです。
- アイデアや意見に耳を傾けること
- 質問を促すこと
- 正確な意思決定ができるように従業員を信頼すること
- 団結心を促進すること
- 人間関係を築くこと
- 効果的な従業員エンゲージメントとコミュニケーションプラットフォームを提供すること
なぜ企業は自社の企業文化を定義することにこだわるの?
採用活動において、企業が応募者に簡単な自己紹介をしてもらうのはよくあることです。
同様に、企業側も応募者のスキルや経験を見るだけでなく、その人が自分たちの企業に合っているかどうか判断するために、企業文化の説明もする必要があるのです。
企業文化は、雇用主の価値観と期待の指針となるものであり、仕事の進め方についても示しています。
たとえば、コミュニケーションが社内イントラネットプラットフォーム上で行われるのか、口頭で行われるのか、書面を通じて行われるのかにかかわらず、社内コミュニケーションはすべて機密情報として扱われる、といったものです。
なぜ企業文化が重要なの?そのメリットとは
企業文化が重要である理由はいくつかあります。
ここではその理由となる、企業文化のメリットを紹介します。
企業のアイデンティティが定まる
企業文化は、従業員が互いにどのように関わるのか、そしてサプライヤーや顧客とどのように取引を行うのか、という価値観を確立します。
こうしたコアバリューは企業のあらゆる活動に反映されるため、企業ブランドの一部になります。
企業文化はその企業の将来にとっても、同じく重要です。ベストな企業文化は常に進化を続け、次のような質問を絶えず投げかけてきます。
- 私たちは今どういう状態なのか?
- 従業員にとって何がうまくいっているのか?
- 従業員のために何が改善できるのか?
- 従業員は適切なツールを持っているか?(例:社内コミュニケーションプラットフォーム)」
従業員を最強のサポーターに変える
優れた企業文化のメリットの一つとして、自社を宣伝する手段になることが挙げられます。
従業員が大切にされ、感謝されていると感じると、それは仕事ぶりにも表れます。また、接点のあるあらゆる人たちとの関わり方にも良い影響を与えます。
よく働いている従業員を評価することは重要です。ベストな企業文化とは、自分がその企業に貢献していると実感でき、自分の行っている仕事が重要だと感じられるような文化だと言えます。
最適な人材を引き寄せ、定着させる
人材を大切にする企業文化は、従業員の仕事へのエンゲージメントを高めます。
そういう文化を持つ企業では、従業員は短期間で転職するのではなく、長期的にそこで働きたいと思うようになります。
企業ブランドを構築していくなかで、彼らが企業にとって最大のサポーターとなることでしょう。
従業員をチームに変える
従業員には、「ここで働くメリットは?(WIIFM:What’s In It For Me)」という考え方から脱却してもらう必要があります。
従業員は、企業の成功のために協力して働かなければなりません。もちろん、従業員が企業で働いて得られる対価の一つは金銭的なもの、給料です。
しかし、グループの一員であるという感覚もまた、ポジティブな企業文化から得られるもう一つの対価なのです。
健全な企業文化は、従業員の幸せにプラスの影響を与える
従業員が心身ともに健康であれば、現代社会のストレスやプレッシャーにうまく対処できます。
その結果、彼らの仕事のパフォーマンスは、サポートしてくれない環境で働く従業員のパフォーマンスよりも高くなるのです。
企業文化を構築する方法
企業というのは、自ら積極的に介入しなくても独自の文化を育むものです。しかし、より良い職場環境を作るために、積極的に行動を起こすこともできます。
これは一朝一夕でできることではありませんので、時間と労力をかける覚悟が必要です。
1. 自社のコアバリューを決める
あなたの企業と関連付けたい、最も重要な言葉は何ですか?
顧客(または一般の人たち)が企業の看板やロゴを見たときに、どんな言葉を思い浮かべてほしいか、短い言葉で言い表してみてください。
これらが、あなたの企業のコアバリューです。コアバリューからは、あなたが自社とその従業員を世界にどう見てほしいか、ということが読み取れます。
2. 企業文化の目標を設定する
企業文化の目標は、四半期中に一定数のユニットを販売したり、売上目標を達成したりすることとは関係ありません。
そうではなくて、そもそもあなたがその会社を立ち上げた理由に関連するものにしましょう。
独立を決意したとき、あなたはどんな変化をもたらしたかったのですか?その答えとなる言葉やフレーズが、あなたの企業文化の目標となります。
3. 全従業員を巻き込む
従業員は、企業文化を築くうえで重要な役割を果たします。従業員が一般的に良い企業文だと感じていると、彼らの生産性は向上します。
雇用主として、このプロセスを促進するためにできることがいくつかあります。
従業員に感謝の気持ちを伝えましょう。彼らを見かけたら挨拶してください。企業が目標を達成していることと、それに貢献した彼らに対し、感謝の気持ちを伝えましょう。
従業員が常にベストを尽くせるように、どんなことで彼らのモチベーションが高まるのか知っておきましょう。お金によってモチベーションが高まる人ばかりではありません(それに全従業員の給料を大幅にアップする余裕がないかもしれません)。
しかしその代わり、残業をなくすなど、従業員が喜ぶであろうほかのインセンティブを提供できる可能性があります。
優れた企業文化は、企業が従業員に提供する福利厚生からも生まれます。企業文化は急速に変化しており、雇用主は次のような特典を用意しています。
- 無料の飲み物や軽食
- イベント(バーベキュー、パーティー、スポーツ観戦)
- 週末旅行
- コンテスト
- ゲームや座り心地の良い椅子を備えた、休憩時間にリラックスできるオフィス環境
- ジムやプールの会員権
こうした特典を勤務時間内に提供することで、チームワークが促進され、ポジティブな職場文化が築かれます。
仕事は人生の多くの時間を占めるため、仕事を楽しむことが重要なのです。
良い雇用主であるためには、従業員が必要としているときに代わってあげたり、サポートしてあげたりすることが重要です。
個人的、または仕事上の問題に直面している従業員は、自分がそれに対処している間も柔軟に対応してくれる雇用主に感謝することでしょう。
企業文化を改善する方法
企業文化を改善することを決意したら、積極的に行動しなければなりません。
ここでは、あなたの企業の文化をより良い方向へと変えるヒントを紹介します。
1. 上司が率先垂範する
企業が望むような文化に反する行動はやめさせるべきです。
ルールや規則を一部の従業員しか守っていないような職場環境にしてはいけません。
あなたももし、これまでに規則を破ったことがあるなら、今こそ、厳格に守るという模範を従業員に示す時です。
2. お手本となる行動を続けるよう従業員に促す
企業文化に関して続けてほしいと思う行動を従業員がとっている場合は、感謝の気持ちを伝えたり、別の方法で肯定的に評価したりすることで、その行動を後押ししましょう。
そうすればその従業員は同じように行動し続け、模範的な行動として、ほかの従業員に良い影響を与えてくれます。
3. フィードバックを行う準備をする
従業員の企業文化の改善に向けた取り組みを、あなたがどのように評価しているか彼らに伝えましょう。評価の際はまず、うまく行っている分野を伝えてください。
次に、改善が必要な点について指摘します。
最後に、企業文化を効果的に改善するため皆が協力してくれているということを改めて強調し、従業員の貢献に感謝を伝えましょう。フィードバックは明るい雰囲気で終えることが大切です。
では、自社の取り組みが成功しているかどうか判断するためには、企業文化をどのようにチェックすればいいのでしょうか?
それにはいくつかのKPI(重要業績評価指標)を把握することで、うまく機能しているのか、それとも調整が必要なのか知ることができます。
4. 従業員の離職率に着目する
時間をかけて企業文化の改善に力を尽くした後、離職率はそのままでしょうか?
それとも低下していますか?もちろん、企業にその原因がなくても、転職を決意する従業員もいるでしょう。どれだけ慎重に選考したとしても、採用ミスは起こりえます。
しかし、離職率が数ヶ月間、または1年以上にわたって横ばい、もしくは上昇し続けている場合は、企業側に何らかの問題があることを示している可能性があります。
5. 従業員満足度調査と管理職満足度調査を実施する
その企業で働くことについて、従業員や管理職がどう感じているのかどうしても知りたい場合は、匿名の調査を実施する必要があります。
彼らが自分のスキルを有効活用できていると感じているかどうか、適切なサポートを受けているかどうか、研修を受ける機会が十分あるかどうか質問してみましょう。
その回答を参考にして、企業文化をより効果的にととのえることができます。
これは、企業方針の改善に役立つ従業員エンゲージメントの一形態です。
重要なのは、正直な回答を得ることです。従業員と管理職は、自分の回答内容の秘密が守られるという確信がなければ、正直に答えてくれる可能性が低くなってしまいます。
オンライン調査であれば、全従業員が自由に意見を伝えられるため、デジタルワークプレイスにとっては素晴らしい選択肢です。
さらに、それぞれ都合の良いタイミングで調査に回答できます。