DX・業務効率化
更新日:
2025-03-25

生産性向上は企業活動で重要!業務効率化との違いや手法も解説

この記事を書いた人
Yuko Kobayashi
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目次

企業活動を継続させるために必要なポイントは複数ありますが、その中でも重要な要素の1つが生産性向上です。

生産性向上により、人材不足の解消やコスト削減などの効果が期待できます。ただ、生産性向上にはさまざまな手法があります。また、生産性向上のポイントを押さえていなければ、期待する効果は得られません。

そこで今回は、生産性向上の意味や指標に加え、主な手法やポイントを解説します。

生産性向上とは

生産性は、労力に対する成果です。

生産性向上を実現すれば、同じ時間でより多くの製品をつくることや、同じ材料でよりよい品質の商品をつくることが該当します。生産性が向上すれば、限られた資源の中で最大の成果を出すために企業はより効率的に働き、競争力を高められるでしょう。

ここでは、生産性向上に関する基礎知識について、以下の3点を解説します。

  • 業務効率化との違い
  • 生産性向上が求められる背景
  • 生産性の指標

1つずつ見ていきましょう。

業務効率化との違い

生産性向上に関する基礎知識の1つ目は、業務効率化との違いです。

業務効率化は、仕事の手順を見直して無駄な作業を省くことで、より早く少ない手間で業務完了を目指します。例えば、書類の電子化や新しいツールの導入などが該当します。

これに対して生産性向上は、同じ時間や労力でより多くの成果を出すことです。業務効率化は生産性向上の手段と言えますが、生産性向上のためには、単に業務効率化をするだけでなく、より価値の高い仕事に時間を使うなど業務の質向上も欠かせません。

生産性向上が求められる背景

生産性向上に関する基礎知識の2つ目は、生産性向上が求められる背景です。

背景は大きく分けて2つあります。
1つは人口減少や少子高齢化に伴う人材不足です。
「2024年には正社員不足と感じる企業が51.7%にものぼる」とする調査結果もあり、多くの企業で人材確保に苦慮しています。その有効な解決策の1つが生産性向上です。

もう1つの背景は国際競争力の低下です。
近年の経済活動はグローバル化が進んでいますが、国際社会における日本の地位はなかなか上がってきません。その解決策としても生産性向上が注目されています。

出典:人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)|株式会社帝国データバンク

生産性の指標

生産性向上に関する基礎知識の3つ目は、生産性の指標です。ここでは、以下の3点を解説します。

  • 物的労働生産性
  • 付加価値労働生産性
  • 全要素生産性(TFP)

1つずつ見ていきましょう。

物的労働生産性

生産性の指標の1つ目は、物的労働生産性です。

物的労働生産性は生産量を労働者数や労働時間で割ることで求められ、単純に1人当たりの生産量や1時間あたりの生産量を示します。

付加価値労働生産性

生産性の指標の2つ目は、付加価値労働生産性です。

付加価値労働生産性は、付加価値額を労働者数や労働時間で割ることで求められ、企業が生産活動を通じて新たにつくり出した価値を指します。

全要素生産性(TFP)

生産性の指標の3つ目は、全要素生産性(TFP:Total Factor Productivity)です。

全要素生産性は、労働や資本だけでなく、技術進歩などのあらゆる要素を考慮した生産性の指標を指します。

生産性向上のメリット

ここでは、生産性向上のメリットについて、以下の3点を解説します。

  • 人材不足の解決
  • コスト削減
  • 働き方改革

1つずつ見ていきましょう。

人材不足の解決

生産性向上のメリットの1つ目は、人材不足の解決です。

生産性を向上させることで、今までよりも少ない人数で多くの仕事を実施できます。特に昨今は、少子高齢化により労働力不足が深刻化しており、生産性向上は企業の存続に関わる重要な課題です。

コスト削減

生産性向上のメリットの2つ目は、コスト削減です。

生産性向上により少ない労力で成果を出せるため、人件費などのコスト削減につながります。余った資金を従業員教育や設備投資に活用すればさらなる生産性向上を図れるでしょう。

働き方改革

生産性向上のメリットの3つ目は、働き方改革です。

生産性向上によって、同じアウトプットを短時間で出せるようになるため、従業員の労働時間を削減できます。これにより、ワークライフバランスが改善され、従業員の満足度向上にもつながるでしょう。

生産性向上の手法

ここでは、生産性向上の手法について、以下の6点を解説します。

  • 業務の無駄を削減
  • 業務標準化
  • 人員配置の見直し
  • ツールの活用
  • アウトソーシング
  • 従業員エンゲージメントの向上

1つずつ見ていきましょう。

業務の無駄を削減

生産性向上の手法の1つ目は、業務の無駄を削減することです。

生産性向上には、まず現場の業務全体の把握が欠かせません。現場の業務量やフローを詳細に分析し、慣習的に行われている無駄な作業や、効率化できる部分を特定しましょう。

これにより業務の無駄を削減できれば、それだけで生産性向上につながります。現場従業員の意見を十分に聞き取ることも、現状把握のポイントです。

業務標準化

生産性向上の手法の2つ目は、業務標準化です。

従業員によって業務のアウトプットにばらつきがあると、業務の遂行に自信がある従業員が不在の場合、アウトプットの品質や所要時間が大きく劣ってしまうかもしれません。

それを防ぐには、業務マニュアルを作成し誰が担当しても同じ品質を確保できるようにする必要があります。これにより、ミスの削減や作業時間の短縮が期待できるでしょう。また、書類のフォーマットを統一すれば、作成や確認にかかる時間も削減可能です。

人員配置の見直し

生産性向上の手法の3つ目は、人員配置の見直しです。

従業員1人1人の経験や業務適性により、同じ業務でも作業時間やアウトプットの質は変わってくるでしょう。そのため、人員配置を見直せば組織全体の生産性向上が期待できます。従業員1人1人の特性を十分に把握し、組織で行っている業務の全体を踏まえて、最適な人員配置を行うことがポイントです。

ツールの活用

生産性向上の手法の4つ目は、ツールの活用です。

生産性向上に役立つツールは、さまざまなベンダーからリリースされています。
例えば、CrewWorksは、タスク管理やチャット機能などによって効率的な業務遂行や情報共有などをサポートしてくれます。また、RPAを活用すれば、定型的業務を自動化できるため、ヒューマンエラーの防止や作業時間の短縮が可能です。

アウトソーシング

生産性向上の手法の5つ目は、アウトソーシングです。

自社に必要な業務であっても、自社にとってコアと言えない業務や専門性に自信がない業務などは、アウトソーシングしましょう。これにより、従業員はコア業務に集中できます。

特に専門性が高い業務は、その分野が得意な企業やフリーランスにアウトソーシングすれば、自社で行うより効率的に高品質なアウトプットが見込めるでしょう。

従業員エンゲージメントの向上

生産性向上の手法の6つ目は、従業員エンゲージメントの向上です。

従業員エンゲージメントを高めることで従業員のモチベーションを向上させられれば、結果的に生産性向上につながります。従業員エンゲージメントの向上には、社内コミュニケーションの活性化や公正な評価制度の導入など、有効な施策がいろいろあります。

関連記事:職場ではコミュニケーションの重要性が見逃せない!促進する手法やポイントも解説

生産性向上を成功させるポイント

ここでは、生産性向上を成功させるポイントについて、以下の4点を解説します。

  • 業務負担の分散
  • 長時間労働の回避
  • アウトプットの増大施策も検討
  • 助成金などの支援策も検討

1つずつ見ていきましょう。

業務負担の分散

生産性向上を成功させるポイントの1つ目は、業務負担の分散です。

生産性向上のためには、従業員のマルチタスク化が有効だと考える方もいるでしょう。しかし、スタンフォード大学の研究によると、マルチタスクは脳に負担をかけ、作業効率を低下させるとの研究結果が発表されています。

そのため、従業員にあまりにも幅広い業務を任せることは考えものです。従業員の能力を最大限に引き出せるよう、人員配置では業務を適切に割り当てた方がよいです。

長時間労働の回避

生産性向上を成功させるポイントの2つ目は、長時間労働の回避です。

長時間労働で従業員が実施できる業務量を増やせば、一時的に生産性を上げられると思う人もいるでしょう。しかし、長時間労働は長期的に見ると従業員のモチベーション低下や健康への悪影響など、マイナス面が多数あります。

従業員に長時間労働を強いるのではなく、あくまでも、組織改革などによって効率的な働き方を促進しましょう。

アウトプットの増大施策も検討

生産性向上を成功させるポイントの3つ目は、アウトプットの増大施策を検討することです。

業務効率化や無駄なコストの削減は生産性向上に不可欠な要素ですが、それだけでは十分ではありません。大切なことは、適材適所への配置や従業員のスキルアップなど、アウトプットを最大化する施策にも同時に取り組むことです。

同じコストで得られるアウトプットを増大させれば、これも生産性向上につながります。

助成金などの支援策の活用も検討

生産性向上を成功させるポイントの4つ目は、助成金などの公的支援策の活用を検討することです。

生産性向上の過程で新しいシステムやツールなどを導入するときは、コストがネックになる場合もあるでしょう。しかし、助成金などさまざまな支援策を活用すれば、コストを抑えながら生産性向上の施策を実行できる場合もあります。

各省庁や地方自治体などの情報をチェックし、自社で活用できないか検討してみましょう。

出典:先端設備等導入制度による支援|中小企業庁

まとめ

今回は、生産性向上の意味や指標に加え、主な手法やポイントを解説しました。

生産性は投入した労力に対する成果です。生産性向上により、人材不足や競争力などの課題解決につながります。

業務の無駄削減や業務標準化などが、生産性向上の手法です。ただし、生産性向上を従業員の長時間労働に頼らないようにしましょう。助成金などの支援策を活用することも有効です。

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