社内業務を行う過程で多かれ少なかれムリ・ムダ・ムラが発生し、余計なコストが発生することがあるでしょう。思うような成果が出ない場合も、業務のムリ・ムダ・ムラが原因かもしれません。

それらの問題を解決するために、業務効率化に取り組みたいものです。しかし、漠然と業務効率化と言ってもイメージがわきにくいため、具体的なアイデアや成功事例を参考にしたいと思う方もいるでしょう。

そこで今回は、業務効率化の意味やメリットに加え、代表的な業務効率化アイデア11選を解説します。

業務効率化が必要とされる背景

業務効率化とは、仕事のムリ・ムダ・ムラをなくすことです。

書類の電子化や新しいツールの導入などが主な施策で、よりスムーズに仕事を進めて少ない労力で多くの成果を出せるよう試みます。業務効率化に成功すれば、企業の利益向上につながるでしょう。

ここでは、業務効率化が必要とされる背景について、以下の2点を解説します。

• 人手不足
• 働き方の多様化

1つずつ見ていきましょう。

人手不足

業務効率化が必要とされる背景の1つ目は、人手不足です。

現在わが国では、多くの企業が深刻な人手不足に悩んでいるでしょう。帝国データバンクの調査では、「2024年には正社員不足と感じる企業が51.7 %にものぼる」との調査結果が出ています。

この状況下で従来通りの働き方をしていては、生産性を維持することが困難です。そこで、業務効率化を進め少ない人数でも高い生産性を維持できる体制づくりが求められています。

出典：人手不足に対する企業の動向調査（2024年10月）｜株式会社帝国データバンク

働き方の多様化

業務効率化が必要とされる背景の2つ目は、働き方の多様化です。

昨今の働き方改革に対応するため、企業は従業員の働き方を見直し、多様な働き方を支援する必要があります。特にリモートワークやフレックスタイム制などの新しい働き方を実現するためには、業務プロセスの効率化やITツールの導入が欠かせません。

業務効率化のメリット

ここでは、業務効率化のメリットについて、以下の3点を解説します。

• 生産性向上
• 従業員のストレス軽減
• 従業員のワークライフバランス確保

1つずつ見ていきましょう。

生産性向上

業務効率化のメリットの1つ目は、生産性向上です。

業務効率化により、少ない労力でより多くの成果を出せます。これは、企業の収益向上に直結するだけでなく、残業時間削減にもつながります。余裕時間ができれば、新たな事業や従業員の育成に活用することも可能です。

関連記事：生産性向上は企業活動で重要！業務効率化との違いや手法も解説

従業員のストレス軽減

業務効率化のメリットの2つ目は、従業員のストレス軽減です。

仕事量の増加や締め切りのプレッシャーなど、仕事上の大きなストレスは、従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼします。業務効率化でこれらのストレスを軽減できれば、従業員にとって働きやすい環境づくりが可能になるでしょう。

出典：令和5年　労働安全衛生調査（実態調査）｜厚生労働省

従業員のワークライフバランス確保

業務効率化のメリットの3つ目は、従業員のワークライフバランス確保です。

業務効率化によって従業員のワークライフバランスは大きく改善されるでしょう。なぜなら、残業時間の削減や柔軟な働き方が可能になり、プライベートの時間を大切にできるようになるからです。

業務効率化の流れ

ここでは、業務効率化の流れについて、以下の4点を解説します。

• 業務可視化
• 改善の優先順位付け
• 改善方法の決定
• 効果検証

1つずつ見ていきましょう。

業務可視化

業務効率化の流れの1つ目は、業務可視化です。

業務効率化を進めるためには、まず現状の業務を詳細に把握することが欠かせません。業務に関する各種情報を整理し、各業務の所要時間やボトルネックを可視化することで、改善すべき課題が明確になります。

改善の優先順位付け

業務効率化の流れの2つ目は、改善の優先順位付けです。

社内業務には多かれ少なかれ課題があるため、社内業務の全ての課題をまとめて解決することは事実上不可能と言ってよいでしょう。そのため、改善の優先順位付けをし、優先順位が高い課題を先に解決することが適切です。改善効果の大きさと実施の容易さを考慮すると、優先順位付けをスムーズに行えるでしょう。

改善方法の決定

業務効率化の流れの3つ目は、改善方法の決定です。

特に優先順位の高い課題について、具体的な改善策を検討する必要があります。ツールの導入だけでなく、業務自体の簡略化や不要な業務の廃止など、さまざまな角度から改善策を検討しましょう。このプロセスを経ることで、最適な施策を立案できます。

効果検証

業務効率化の流れの4つ目は、効果検証です。

改善策を実行しただけで終わりにせず、その後に効果検証を行い、必要であればさらに改善策を立案・実行しましょう。改善は一度きりで終わりにせず、継続的に行うことがポイントです。

業務効率化のアイデア

ここでは、業務効率化のアイデアについて、以下の11点を解説します。

• 業務の優先順位付け
• 不要な業務の削減
• 業務自動化
• マニュアル作成
• データベースの整備
• 業務フローチャートの作成
• ツール等で業務処理のスピードアップ
• 業務量の調整
• 人員配置の最適化
• 複数アイデアの組合せ
• アウトソーシング

1つずつ見ていきましょう。

業務の優先順位付け

業務効率化のアイデアの1つ目は、業務の優先順位付けです。

緊急性と重要度から各タスクに優先順位をつけることで、限られたリソースを効果的に活用できます。また、チーム全体で重要業務を認識し、集中して取り組むことで生産性が一層向上します。

不要な業務の削減

業務効率化のアイデアの2つ目は、不要な業務の削減です。

現状の業務フローを細かく分析し、重複している作業や複雑な承認プロセスなど、不要な業務がないかチェックしましょう。定期的に業務フローを見直し、新たな無駄が発生していないか調べることも必要です。

業務自動化

業務効率化のアイデアの3つ目は、業務自動化です。

RPAなどを活用し、定型業務の自動化を試みましょう。これにより、業務にかかる時間を削減できるだけでなく、ヒューマンエラーの防止や処理速度の向上も実現できます。必要に応じ、営業管理ツールやコミュニケーションツールなどと組み合わせてもよいでしょう。

マニュアル作成

業務効率化のアイデアの4つ目は、マニュアル作成です。

詳細な業務マニュアルを作成することで、業務の標準化と一貫性を実現できます。これにより新入従業員の教育コストを抑え、スタッフ間の認識違いも防げるため、スムーズな業務進行が実現できます。

データベースの整備

業務効率化のアイデアの5つ目は、データベースの整備です。

データベースの構築で情報を一元管理することで、必要なデータに素早くアクセスできます。部門間の連携強化にも役立つので、定期的に更新とバックアップを行い、正確性を維持しましょう。

業務フローチャートの作成

業務効率化のアイデアの6つ目は、業務フローチャートの作成です。

フローチャートで業務全体の流れを視覚化することで、業務プロセスの理解が深まり改善点も見つけやすくなります。また、メンバー全員が業務の流れを直感的に把握できるため、ボトルネックの特定や継続的な改善にも効果的です。

ツール等で業務処理のスピードアップ

業務効率化のアイデアの7つ目は、ツール等で業務処理のスピードアップを図ることです。

最新のITツールやクラウドサービスを導入することで、業務処理のスピードアップを図れます。また、従業員研修でスキルアップを促進することや、ボトルネックとなる工程を改善することによって全体の効率を高められます。

業務量の調整

業務効率化のアイデアの8つ目は、業務量の調整です。

特定の従業員が疲弊することを防ぐため、定期的に業務量を評価し再配分しましょう。繁忙期にはアウトソーシングも取り入れ、適宜休暇取得を促すことで、生産性とモチベーションを両立できます。

人員配置の最適化

業務効率化のアイデアの9つ目は、人員配置の最適化です。

各従業員のスキルと経験を把握し、それぞれの得意分野に応じて人員配置を行うことにより、パフォーマンスを最大化できます。面談時に従業員の希望を聞き、それぞれのキャリア目標に沿って配置転換することも効果的です。

複数アイデアの組合せ

業務効率化のアイデアの10個目は、複数アイデアの組合せです。

これまで解説してきたマニュアル作成や業務自動化などのアイデアを組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。アイデアを実行する際は、他のアイデアと組み合わせられないか一度考えてみましょう。

アウトソーシング

業務効率化のアイデアの11個目は、アウトソーシングです。

コア事業以外にリソースを取られていることにお悩みであれば、アウトソーシングの活用も検討しましょう。アウトソーシングにより、一層コア事業への集中と競争力強化が可能になります。アウトソーシング先の専門知識を活用して、サービス向上を図ることも可能です。

業務効率化の成功事例

ここでは、業務効率化の成功事例について、以下の2点を解説します。

• 住宅会社A
• 健康食品メーカーB

1つずつ見ていきましょう。

住宅会社A

業務効率化の成功事例の1つ目は、住宅会社Aの事例です。

住宅会社Aでは働き方改革を推進しており、週休3日制のトライアル導入や、残業時間削減を目指した残業時間の事前申請制など、さまざまな施策に取り組んできました。その結果、残業時間が大幅に減少し、営業利益も増加しました。

従業員に魅力的な働き方を提供することで、従業員のモチベーション向上や採用力強化につながったのです。

健康食品メーカーB

業務効率化の成功事例の2つ目は、健康食品メーカーBの事例です。

健康食品メーカーBでは、RPAツールを導入し、定型業務の自動化を推進しています。その結果、全社トータルで年間5千時間以上の時間を創出でき、従業員がより付加価値の高い業務に集中できる結果となりました。社内教育プログラムを拡充し、RPAの活用範囲を拡大することで、さらなる効率化を図っています。

まとめ

今回は、業務効率化の意味やメリットに加え、代表的な業務効率化アイデア11選を解説しました。

業務効率化は仕事のムリ・ムダ・ムラをなくすことです。人手不足や働き方の多様化を背景に重要度が増しています。生産性向上や従業員のストレス軽減などが業務効率化のメリットです。
業務効率化を進めるには、業務可視化から効果検証まで手順を踏んで行いましょう。

業務効率化には、業務の優先順位付けやアウトソーシングなどさまざまなアイデアがあります。それぞれのアイデアを実行する前に、他社の事例も参考にするとよいでしょう。