企業活動を成功させるには、業務効率や従業員のエンゲージメントなど、様々な要因を向上させなければなりません。会社を向上させる施策も多岐に渡りますが、具体的にどの課題を優先的に解決すべきか明確になっていないと、正しい施策を選択することは困難です。

また、会社の向上事例はすでに数多くあり、自社で会社の向上を目指す場合はまず先行事例を研究すると確実性を増やせます。

そこで今回は、会社向上の目的や施策に加え、成功させるポイントや事例も解説します。

会社を向上させる目的

ここでは、会社を向上させる目的について、以下の4点を解説します。

• 業務上のストレス軽減
• 対人関係の改善
• 離職率の低下
• 生産性向上

1つずつ見ていきましょう。

業務上のストレス軽減

会社を向上させる目的の1つ目は、業務上のストレス軽減です。

従業員が大きなストレスを抱えたままだと、業務のパフォーマンス低下やミス増加につながりかねません。また、心身の不調から欠勤増加や休職に発展するケースもあるでしょう。
会社の向上でストレスを軽減することで、単に従業員の健康問題だけでなく、生産性向上や企業業績にもつながります。

対人関係の改善

会社を向上させる目的の2つ目は、対人関係の改善です。

職場における代表的なストレス要因には、対人関係の問題があります。会社を向上させる過程で職場環境の改善に取り組めば、上司や同僚とのコミュニケーションが活性化されるでしょう。面談・相談窓口・人員配置・フリーアドレス制度などの施策を実施することで、対人関係改善につながった事例は実際に多数あります。

離職率の低下

会社を向上させる目的の3つ目は、離職率の低下です。

会社が向上すると、自ずと職場の雰囲気がよくなります。その結果、従業員のストレスが軽減されれば、心身の不調を訴える従業員が減少し、退職・転職を考える従業員が減るでしょう。
人材採用・育成にかかるコストは無視できないため、離職率が低下すればそれだけ人材に関する計画を立てやすくなります。

関連記事：定着率アップで企業の成長を加速させる！職場環境・待遇・働き方の最適解

生産性向上

会社を向上させる目的の4つ目は、生産性向上です。

会社の向上により、生産性向上も期待できます。
例えば、厚生労働省によれば、職場環境改善施策の実施コストは従業員一人当たり7,660円であるのに対し、生産性向上による利益は一人当たり15,200円です。
この結果からも、職場環境を向上させることで、従業員の精神面だけでなく企業の利益率向上にとってもメリットがあると言えるでしょう。

出典：これからはじめる労働環境改善〜スタートのための手引〜｜独立行政法人 労働者健康安全機構・厚生労働省
関連記事：生産性向上は企業活動で重要！業務効率化との違いや手法も解説

会社を向上させる施策

ここでは、会社を向上させる施策について、以下の6点を解説します。

• 業務の無駄削減
• 業務標準化
• 人員配置の見直し
• テクノロジー活用
• アウトソーシングの活用
• エンゲージメント向上

1つずつ見ていきましょう。

業務の無駄削減

会社を向上させる施策の1つ目は、業務の無駄削減です。

業務の無駄削減のために、まず業務の棚卸しを行いましょう。業務量や業務フローを正確に把握し、特に重要度が低い業務や簡略化できそうな業務について積極的に改善を図ります。

この過程では、担当者だけでなく現場の従業員の意見も取り入れると効果的です。管理者では気づかない過剰なコストや無駄な工程が、現場目線を取り入れることで発覚することもあります。

業務標準化

会社を向上させる施策の2つ目は、業務標準化です。

業務標準化が不十分だと、成果物の品質にばらつきが生じて、結果的に時間の無駄が発生しかねません。そのため、マニュアルなどで業務標準化を推進し、業務の品質確保を心がけましょう。

適切なマニュアルがあればミスを未然に防ぎ、修正時間を削減できます。また、書類フォーマットを企業全体で統一することで、作成や確認作業の効率化も図れるでしょう。

人員配置の見直し

会社を向上させる施策の3つ目は、人員配置の見直しです。

人員配置も企業の生産性に影響を与えます。業務内容に合ったスキルや適性を持つ人材が配置されていないと、効率化が進まず生産性が低下しかねません。

従業員それぞれの資格やスキル、業務経験を収集・管理しておけば、適切な人員配置計画が立てやすくなります。配置を検討する際には、個々の性格やスキル、本人の志望、配属部署の現状を総合的に考慮しましょう。

テクノロジー活用

会社を向上させる施策の4つ目は、テクノロジー活用です。

定型的かつ日常的な業務においては、RPAなどのテクノロジー活用で自動化を試みましょう。RPAを導入すれば、データ入力・チェック作業・データ分析・社内システムと業務アプリとのデータ連携など、幅広い定型業務を自動化できます。

これにより人的ミスの削減や作業スピードの向上が実現できる上、長時間ツールを稼働させれば人的コスト削減や作業スケジュールの短縮も可能です。

アウトソーシングの活用

会社を向上させる施策の5つ目は、アウトソーシングの活用です。

企業の利益に直結しない事務処理などの業務を外部にアウトソーシングすることで、従業員は本来注力すべき業務により多くの時間を費やせます。上述のRPAでは対応できない複雑な工程がある業務も、アウトソーシングによって効率化できるケースもあるでしょう。

アウトソーシングを検討するときには、社内で担当すべき業務と外注可能な業務を適切に仕分けし、必要な場面で活用することがポイントです。

エンゲージメント向上

会社を向上させる施策の6つ目は、エンゲージメント向上です。

エンゲージメントは、企業への愛着や理念・ビジョンへの共感です。これが高まると従業員のモチベーションが向上し、結果的に生産性も上がります。社内コミュニケーションの活性化や公正な人事評価制度の構築、自律的に働ける環境整備などが代表的な施策です。

まずは従業員と会社の関係を可視化するサーベイなどで現状を把握し、適切な施策を実践しましょう。

関連記事：エンゲージメントマネジメントとは？離職率低下＆業績アップにつながる実践法を解説

会社を向上させるポイント

ここでは、会社を向上させるポイントについて、以下の4点を解説します。

• 課題解決に有効な施策の立案・実行
• 従業員に寄り添った施策の立案・実行
• 理念に立ち返ったコンセプト設計
• 長期的目線での施策実行

1つずつ見ていきましょう。

課題解決に有効な施策の立案・実行

会社を向上させるポイントの1つ目は、課題解決に有効な施策の立案・実行です。

会社の向上には、課題解決に向け効果的な取り組みを実施することが欠かせません。
例えば、職場の人間関係が課題であれば、単に職場で従業員同士の接点を減らすことだけでは根本的な解決にならないでしょう。

大切なことは、課題とその原因をしっかりと分析し、本質的な解決につながる施策を立案・実行することです。

従業員に寄り添った施策の立案・実行

会社を向上させるポイントの2つ目は、従業員に寄り添った施策の立案・実行です。

職場環境改善の取り組みは、従業員のためにならなければ会社の自己満足になりかねません。従業員の不満や要望をしっかりとヒアリングし、その声に応じた改善を行うことが必要です。

また、施策が多くの従業員にとって公平であるか確認しましょう。
例えば、喫煙者向けの特別金制度は、非喫煙者からすると不公平に感じられます。
目指すべき環境は、すべての従業員が公平だと感じられる働きやすい環境です。

理念に立ち返ったコンセプト設計

会社を向上させるポイントの3つ目は、理念に立ち返ったコンセプト設計です。

方向性に迷ったら、一度自社の目的やサービスの存在意義から考え直しましょう。消費者視点に立ち、社会のニーズに沿っているか検討することも欠かせません。

理念が明確になったら事業コンセプトにも目を向け、これらを一貫させることが重要です。顧客層を特定し、そのニーズに合ったサービスと効果的な提供方法を検討することで、顧客満足度と生産性の向上にもつながります。

長期的目線での施策実行

会社を向上させるポイントの4つ目は、長期的目線での施策実行です。

会社を向上させる取り組みは、即効性がないものも珍しくありません。研修やマニュアル化などにコストがかかるにもかかわらず、すぐに効果が見えないことで不安になることもあるでしょう。

短期的な視点で諦めるのではなく、長期的な視野で取り組むことが重要です。適切に投資・活動すれば、長期的には高確率で成果が出てきます。

会社の向上に取り組んだ事例

ここでは、会社の向上に取り組んだ事例について、以下の2点を解説します。

• 飲食チェーン店A
• ITサービス企業B

1つずつ見ていきましょう。

飲食チェーン店A

会社の向上に取り組んだ事例の1つ目は、飲食チェーン店Aの事例です。

飲食チェーン店Aは報連相に課題があり、社内情報共有ツールを導入しました。
これにより、報連相・QSC（品質・サービス・清潔さ）・理念浸透などの取り組みが一元化され、業務効率が大幅に向上しています。
また情報共有の抜け漏れが減少したことに加え、福利厚生面でも従業員から好評です。

ITサービス企業B

会社の向上に取り組んだ事例の2つ目は、ITサービス企業Bの事例です。

ITサービス企業Bでは、「全社棚卸会議」を行っています。
これは、各部署で年2回従業員が担当業務を徹底的に洗い出し、業務を今のまま続けるべきか精査する会議です。
部署全員がこれに参加することで業務全体が可視化され、上司も積極的に関与して即座に決議を行うことでスピード感のある改革が実現しています。

まとめ

今回は、会社向上の目的や方法に加え、成功させるポイントや事例も解説しました。

会社を向上させる目的には、対人関係の改善や離職率の低下などがあります。業務の無駄削減や人員配置の見直しなどの施策で会社の向上が期待できますが、目的や自社状況により最適な施策を選択しなければなりません。

理念に立ち返ったコンセプト設計や長期的目線での施策実行などがポイントです。自社と似た課題や状況の先行事例も参考にしつつ、自社でも会社の向上を目指しましょう。