インナーブランディング・従業員エンゲージメント
更新日:
2025-03-19

インナーブランディングとは?アウターブランディングとの違いや成功事例などとともに解説

この記事を書いた人
Yuko Kobayashi
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目次

マーケティング用語の「ブランディング」を耳にすると、商品や企業の外部PRを連想する方が多いのではないでしょうか。

確かに外部向けでブランディングという用語が使われることが多いですが、社内向けに行われることもあります。それが「インナーブランディング」です。インナーブランディングを行うことで、従業員同士の結束力向上や定着率向上などのメリットを期待できます。

そこで今回は、インナーブランディングの意味やメリットに加え、成功事例も解説します。

インナーブランディングとは

「ブランディング」は、一般的には商品や企業を外部へPRすることを指します。しかし、「インナーブランディング」は、企業が自社従業員に対して自社の価値観やビジョンを共有し、組織への理解を深める活動です。ここでは、インナーブランディングの類語との違いについて、以下の2点を解説します。

  • アウターブランディング(エクスターナルブランディング)との違い
  • インターナルブランディングとの違い

1つずつ見ていきましょう。

アウターブランディング(エクスターナルブランディング)との違い

アウターブランディングとエクスターナルブランディングは同義で、いずれもインナーブランディングと反対に、顧客・取引先・求職者など社外向けのブランディングを指します。一般的に、「ブランディング」と言えばこちらを想起する方が多いでしょう。企業のイメージを戦略的に形成し、企業の目標達成に貢献することが目的です。

インターナルブランディングとの違い

インターナルブランディングはインナーブランディングと同義で、いずれも社内向けブランディングを意味します。ただ、日本ではインナーブランディング、英語圏ではインターナルブランディングが使われることが多いようです。

関連記事:インターナルマーケティングとは?メリットや具体的な施策について解説!

インナーブランディングのメリット

ここでは、インナーブランディングのメリットについて、以下の4点を解説します。

  • 企業への理解増進
  • 従業員同士の結束力向上
  • 定着率向上
  • コンプライアンス意識の向上

1つずつ見ていきましょう。

企業への理解増進

インナーブランディングのメリットの1つ目は、企業への理解増進です。

インナーブランディングは、企業理念やビジョンを従業員に共有し、組織への理解を深めてもらうことを目的としています。これにより、従業員は企業の一員としての自覚をもち、1つの目標に向かって一致団結して働きやすくなるでしょう。

従業員同士の結束力向上

インナーブランディングのメリットの2つ目は、従業員同士の結束力向上です。

インナーブランディングで企業への理解が深まっていくと、従業員間のコミュニケーションが活発になり、一体感が醸成されます。これにより、従業員同士は共通の目標をもつ仲間として仲間意識が芽生え、互いを尊重して協力し合う関係を築けるでしょう。

定着率向上

インナーブランディングのメリットの3つ目は、定着率向上です。

インナーブランディングで従業員の組織への帰属意識を高められれば、従業員は企業への愛着をもちやすくなります。その結果、組織の一員として誇りをもつようになり、離職率が低下し、定着率が向上するでしょう。また、組織文化も醸成され、自社に合致した人材の採用も容易になります。

コンプライアンス意識の向上

インナーブランディングのメリットの4つ目は、コンプライアンス意識の向上です。

インナーブランディングで組織の一体感を高めると、従業員が企業を守りたいと強く思うようになり、コンプライアンス意識が向上します。その結果、法令遵守や倫理的な行動を自ら実践するでしょう。これにより、従業員がトラブルを起こすリスクが軽減され、結果的に企業の評判の向上にもつながります。

インナーブランディングの手法

ここでは、インナーブランディングの手法について、以下の3点を解説します。

  • 定義づけ
  • 見える化
  • 自分ごと化

1つずつ見ていきましょう。

定義づけ

インナーブランディングの手法の1つ目は、定義づけです。

まずは、インナーブランディングを行うため、自社のブランドを明確に定義づけしましょう。「ブランドブック」を作成すれば、企業が提供する価値や目指すビジョンを言葉(ブランド・アイデンティティ)にでき、従業員全員が共有できます。従業員が自社のブランドを深く理解するためにも、ブランドブックの活用はおすすめです。

見える化

インナーブランディングの手法の2つ目は、見える化です。

インナーブランディングの具体的施策を行った後は、従業員の意識がどのように変化したか数値で「見える化」を試みましょう。従業員アンケートや従業員意識調査などを通じて、ブランドに対する理解度や共感度、会社へのロイヤリティなどを定量的に測定できます。これにより、施策の効果を検証し、改善につなげることが可能です。

自分ごと化

インナーブランディングの手法の3つ目は、自分ごと化です。

中長期的にインナーブランディングを行っていくのであれば、「自分ごと化」も避けて通れません。自社のブランドを単なる言葉にとどまらず、「自分ごと」として捉えて必要な行動を取れるようにすることが目的です。

ワークショップやクレド策定など、従業員が主体的に参加できる取り組みを通じ、従業員が自社ブランドを体現できる機会を与えましょう。そのような行動を評価することが、従業員のモチベーション向上につながります。

インナーブランディングの進め方

ここでは、インナーブランディングを進めていく手順について、以下の5点を解説します。

  • 目標設定
  • ミッション・ビジョン・バリューの設定
  • 戦略構築
  • 従業員教育
  • 評価・改善

1つずつ見ていきましょう。

目標設定

インナーブランディングの進め方の1つ目は、目標設定です。

インナーブランディングを始める前に、まずは自社の現状を把握しましょう。従業員のエンゲージメントやブランドに対する認識を調査し、現状を客観的に評価します。

この分析結果をもとに、具体的な目標を設定することが、インナーブランディングの第一歩です。例えば、「従業員のエンゲージメントスコアを、半年で20%向上させる」など数値化された目標を設定すれば、進捗状況を把握しやすくなります。

ミッション・ビジョン・バリューの設定

インナーブランディングの進め方の2つ目は、ミッション・ビジョン・バリューの設定です。

企業が目指す方向性を明確にするために、自社の

  • ミッション(使命)
  • ビジョン(ありたい姿)
  • バリュー(価値観)

を具体的な言葉で表現します。

これらは、従業員が企業の一員として誇りをもてるよう、魅力的で分かりやすい言葉で表現しましょう。また、企業のストーリーや大切な価値観を踏まえ、従業員が日常業務で共感・実践できるものにすることが大事です。

戦略構築

インナーブランディングの進め方の3つ目は、戦略構築です。

従業員にミッション・ビジョン・バリューを浸透させるため、コミュニケーション戦略を立てましょう。従業員同士の意見交換やフィードバックを行いやすくすることが有効で、社内報・社内イベント・ワークショップなど様々な手段を組み合わせるとよいです。

また、社内SNSなどのツールでリアルタイムコミュニケーションを活性化することもおすすめです。

従業員教育

インナーブランディングの進め方の4つ目は、従業員教育です。

従業員がミッション・ビジョン・バリューを理解して行動につなげられるよう、従業員教育として研修やトレーニングを実施しましょう。そこにロールプレイングやグループワークなど、インタラクティブな手法を取り入れれば、より効果的に学習を進められます。

評価・改善

インナーブランディングの進め方の5つ目は、評価・改善です。

インナーブランディングの進捗状況や効果を定量的に評価するため、定期的な従業員アンケート調査で従業員の意見を収集しましょう。また、エンゲージメントスコアなどの指標や、ビジョンなどの理解度調査を参考に、施策の効果を測定しましょう。

評価の結果、改善すべき点があれば、コミュニケーション戦略やトレーニング内容を見直して、より効果的な施策を展開することが必要です。

インナーブランディングの成功事例

ここでは、インナーブランディングに成功した実際の事例について、以下の2点を解説します。

  • 出版社A
  • メーカーB

1つずつ見ていきましょう。

出版社A

インナーブランディングの成功事例の1つ目は、出版社Aの事例です。

出版社Aでは世界を視野に入れて、事業を展開しています。そのことを従業員にアピールするため、受付や待合スペースに、各地の拠点が入った世界地図がデザインされていることが特徴です。また、執務スペースは4席を1かたまりとし、打合せスペースにはテーブルとソファを設けて、誰でも使いやすくすることで、コミュニケーション促進を図っています。

メーカーB

インナーブランディングの成功事例の2つ目は、メーカーBの事例です。

メーカーBでは、労働組合結成50周年を記念して、従業員と家族を対象にクルージングイベントを開催しました。イベントを通じて、従業員とその家族の親睦を深め、会社への帰属意識を高めることが狙いです。

従業員の家族から「よい会社だ」などポジティブな声が聞かれ、従業員のモチベーション向上につながったとされています。また、イベントをきっかけに、普段あまり話す機会のない従業員同士が交流を深めたことも成果でしょう。

まとめ

今回は、インナーブランディングの意味やメリットに加え、成功事例も解説しました。

インナーブランディングは、企業が自社従業員に対して自社の価値観を共有する活動です。アウターブランディングとは、社内向けか社外向けの違いがあります。インナーブランディングは、企業への理解増進やコンプライアンス意識の向上などのメリットがあります。

まずは目標設定を行ってから、戦略構築や従業員教育でインナーブランディングを行いましょう。施策を行った後は、評価・改善も忘れずに行うことが大事です。成功事例も掲載しているので、参考にしてください。

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